anowに込めた想いと実現したい未来

編集部対談

anow編集部

anow(アノウ)の立ち上げ経緯、メディアとして社会変化に貢献する理由、anowが描く未来像等について、anow創設メンバーの5人が集まり、語り合いました。

anowはテクノロジー系の総合研究所であるMM総研が、より広い分野でユーザーと関わる場を持ちたいという内部プロジェクトとして走り出しました。現在は事業責任者である中村さんのもと、社内の若手で手を上げた原田、藤井、原、プロデューサーという立場でチームにジョインしてくれている田中さんの5名体制で編集部として動いています。

PROFILE

中村 成希 株式会社MM総研 事業責任者

25年間、一貫してIT分野のリサーチ&コンサルティング業務に携わる。 テクノロジーを生み出し、活かし、世の中を変えようとする「挑戦者」に注目している。日本流のBizDevOps成功事例を多く取り上げ、社会の発展に貢献したい。

田中 滉大 プロデューサー

デジタルメディアエージェンシー、人材スタートアップ、ライフスタイルデザインスタートアップを経験し、企画ソロレーベルKUMO KIKAKUを主宰。 「個人の幸福と手の届く社会の幸福」をテーマに、プロダクトやサービス、まちづくりなどの企画を行っています。 個人を優先しすぎるのではなく、社会を優先しすぎるのでもない、それぞれが最適に結びついた「新しい時代の当たり前」をanowを通じて探していきたいと思います。

原田 真希 株式会社MM総研 コンテンツディレクター/リサーチャー

テクノロジー系総合研究所の研究員。元不動産ディベロッパー系シンクタンクの研究員。都市、テクノロジー、イノベーションを軸に、リサーチします。誰もが自分を主語に未来を語る、そんな社会が訪れるよう、anowを通じて“個”の支援に注力します。

藤井 貴大 株式会社MM総研 エディター/リサーチャー

携帯電話領域を中心にリサーチしています。生活や暮らしにおける人々のさまざまな実践に注目。"新しいこれから"に向けて一歩踏み出した人や、踏み出そうとしている人を支援して、新しい視点を社会に増やすお手伝いをしたいと思っています。

原 健輔 株式会社MM総研 エディター/リサーチャー

携帯電話、ウェアラブル端末領域の研究員。前職では広告代理店にて広告デザインのディレクション業務やウェブサイトの制作業務に従事。ザ・普通な自分にコンプレックスがあるため、anowを通じて自身のステレオタイプを壊し、心に眠る変人を解放したいです。

anowのコンセプト「SOCIAL QUANTUMS make another now to happen. 社会の小さな担い手が新たな当たり前をつくり出す」に込めた想いは?

原田:最も大切にしたのは「SOCIAL QUANTUMS」を主語としたこと。直訳すると「社会的量子」となるこの言葉をanowでは「社会の小さな担い手」、つまり社会に対して責任を持つ“個人”と定義しています。
近年、多くの本やメディアにおいて、ティール型組織やデザイン思考、目的工学、最近ではWeb3やDAOといった、新しいものを生み出すためのメソッドやテクノロジーがバズワード的に注目を集めている一方で、そのメソッドやテクノロジーを使う人やコミュニティー、組織には焦点が当てられていないことにずっと疑問を持っていました。何か新しいことを行う上で、より良い未来を創る上で重要なのは、どのようなメソッドやテクノロジーを使うかではなく、「どのような想いを持った人が先導するか」なのではないかなと。
なので今回、anow事業を束ねる中村さんに「社会をより良くするようなメディアを創れないかな」という相談を受けたときに、より良い未来のためにすでに行動している“個人”に着目し、焦点を当てられるようなメディアが作りたいと思ったんです。

中村:一石を投じるという言葉があるように、池にポチャンと石を落とすと、ポーンと波紋が広がるではないですか。IT技術と日本社会の関係も似たところがあるとおもっていて。投じられた技術が起こす波紋が点から面に波のように伝わり、気が付くと、社会に大きな影響を与えていたりする。
ただ、20数年間、IT市場調査の仕事に関わってきて、、世の中がこうあってほしいという社会の目標に対して、AIなどのきらりと光る石の波紋がうまく伝播せず、社会変革に生かし切れていないという課題感が今回メディアを創りたいと思ったきっかけです。 
ひとつひとつの石が軽過ぎて波が起きないのか、何か障害物があるのか、社会変革に繋がらない理由は様々浮かびますが、ひとつ強く感じることがあります。多くのIT製品やサービスが市場投入されますが、誰が、どんな想いで市場に投じた一石なのか共感できていない。最終的にはこれが大きなうねり、につながるかどうかの分かれ目だと思うのですが、原因と結果に終始しがちです。
多くのIT技術が次々と生み出され、あっという間にインターネットで世界に伝播する。そのような時代だからこそ、市場で起きたことだけに注目せず、視野を広げるべきと思います。特に社会変革にチャレンジする人や組織に着目し、理解と共感の助けとさらなる技術活用につながるようなメディアをつくりたい。そんな思いがありました。
そこで、社会変革にチャレンジする人や組織についての研究の経験があったことと、これからの社会を担うのは若手なんじゃないかということで、原田さんに話を持ちかけたんだよね。

原田:はい、前職では「まちづくり」を軸にイノベーションを起こす方法やPURPOSEHOODという共通目的でステークホルダーが繋がる有機的な共創の在り方といった研究をしていたので、中村さんの話を聞いて、「やってみたい!!」と強く思ったし、すぐにアイディアが湧いてきました。ただ私も「メディア」についての知見はなかったので、以前からお付き合いがあり、メディア運営にも詳しそうな田中さんに相談したんです。

田中:もともとは飲みの場で、原田さんから雑談レベルで相談されたのがきっかけだったよね。僕は以前、メディア関係のエージェンシーで、メディアの企画支援や広告支援、ブランディングデザインについて学んでいたり、起業した会社でメディア的なアプローチから企業や個人のブランド成長支援をするような仕事もおこなっていたので。

原田:そうそう。田中さんとは以前から「現代社会と個の多様化」みたいなテーマで議論する機会を何度か持っていて。メディアにも精通していることを知っていたので、「社会をより良くするメディアをつくりたいけれど、大きな枠としての“社会”って言葉にはピンとこない。すでに社会に対してアクションを始めている個人から学んだり、個人がどのように行動、生活すれば、社会はより良いものになるのかを掘り下げたり、個人が社会に向き合うきっかけとなるようなメディアって出来ないかな」って漠然と相談したんです。

田中:メディア市場を見ていると、2010年代ごろから既に、個人が様々なメディアを通して情報を発信したり、逆に情報を得る機会を作っていける状態は成熟していました。しかし、結局はフォロワーや閲覧数など数字の奪い合いになっている場面も多く、「それだけがメディアを活用する価値なのかな?」と思うこともありました。メディアとは、メディアを通じて表現したいコンセプトや目的、それらを反映したコンテンツに共感してくれる読者と「一緒に目的やコンセプトを達成する」ための一つの手段なのではないかと思うようになりました。
そういった考えから原田さんの「社会に存在する個々人に注目を当てたい」という問いに対して、「じゃあ、メディアを通じてその人たちと、もしくはその人たちに対して、何を目的として達成したいのか?」という問いを新たに立てました。

原田:その問いをもらって、考えてることが溢れ出ちゃって、、渋谷のセンター街ど真ん中のバルで付箋出して議論したんですよね。

田中:なかなかない光景でしたよね。で、その日の議論の結論が、まだ社会的には小さな存在で、問いにする行動を起こしたばかりの人たちをメディアがいち早く見つけ出して、率先してその行動を情報発信したり、様々な手法で支援することで、個人が社会の中で新たな価値や誰かを救うことのできる土壌を作っていくことを目指そうというものでした。
そこから何度かこのアイディアを見直して、MM総研の社内でこの考えに共感してくださるメンバーを募り、さらにディスカッションを重ねて、メディアが個人を積極的に応援・支援する「アクセラレーションメディア」というビジョンが生まれたんですよね。

藤井:「“個人”の実践に着目して支援する」という視点はanowの柱ですよね。日常のこまごまとした実践の積み重ねが、社会としての大きな動きにつながると思っています。
Social Quantumがいて、彼らを支援する人や組織もいて、それらが組み合わさっていろいろな形の社会になっている。新たな当たり前をつくり出そうとしているSocial Quantumというのは、実現したい未来に向かって実践を続けている人だったり、今風に言うと、新しい社会を自分でデザインしている人だと思っています。
新しい社会をつくろうと実践を始めている人たちは、今ある社会的な文脈に違和感があったり、生き生きと活動できないと感じられているのだと思います。いや応なしにと言うのは変ですが、自分にうまくフィットしない文脈に対して自分がどのように関わっていくか、自分が楽しく生きていくためにどのような文脈を新しくつくっていくかということに取り組まれていると思います。そうした新しい社会の萌芽につながっていく活動を見届けたいし、支援したいと思っています。
新しい選択肢を創るような取り組みには、やはりどうしてもいろいろな社会的な制約やプレッシャーがあると思いますし、受け止めて理解するための準備も重要だと思います。anowでは今までにない文脈に対して、人々が受け入れやすい形で補助線を引いてあげられるようになればいいと思っています。

原田:わかる!今の社会に漠然とした違和感を持っている人って少しずつ増えてきている気がしませんか?「社会の担い手」っていうとSocial Quantumが壮大なビジョンを持っている人に聞こえるかもしれませんがそうじゃないと思うんです。「社会を変えたい」という強い意志を持っていたり、すごく大きいくくりで社会情勢、社会変革を考えている人は実はSocial Quantumの中には少なくて、もっと小さい自分と自分の周りにいる人たちとか、自分と自分の住んでいるエリアといった括りで日常をほんの少し良くするために活動している人が多いんじゃないかなって。小さな括りではあるものの、自分が社会の一部を担っているという感覚のある方が今回、Social Quantumとして私たちが注目する方なのかなって思います。

原:僕は前職が広告代理店でウェブを作ったり、それこそ広告枠をメディアから買ったりしていたんですが、今回メディアの運営に携わることになり、メディアのあり方を改めて考えました。世の中にはいろいろなメディアがすでに乱立していて、中には正しい情報も間違った情報もあり、、そのような状況の中で得た情報から最終的に何かを判断するのは自分自身だなと。
偏らずに満遍なくいろいろなメディアを見てほしいと思いつつ、anowにおいては小石を投げて波紋が広がるという話がありましたが、僕は出した情報に共感してほしいとまではいかないのですけれども、事実として世の中に小さいことでもこのような活動している人がいると知っていただいて、どんどん吸収していただければいいかと思っています。

中村:「共感してくれる人を増やす」ことが編集部としての役割だと思います。anowの記事は、ファクトだけを伝えるのではなく、そのファクトの原動力になっている“個人”のビジョンや想いにまでフォーカスして共感を得るものにしたいよね。

anowとしてXX年後に実現したい未来とそのためにやっていきたいこととは?

藤井:新しい何かを実践する人を取り上げると、やはりどんな時でも多少のコンフリクトが起こると思います。そのようなある種、異端といいますか、今までの文脈とは違う異分子のような人たちをうまく受容できる素地を作っていきたいです。いろいろな制度やシステムのようなマクロなところではなく、もっとミクロな観点で、人々のマインドセットの素地をつくるお手伝いができればいいと思っています。
anowで取り上げる人たちは、やはり変革の最前線に立っている人たちという認識でもあるので、そのような人たちが読者から応援してもらえる立場になるように僕たちも取り上げていきたいと思いますし、読者の人たちにとっても自分ごととして考えて主体的に関わっていきたい、応援したいと感じていただけるような、新しい可能性を提案できる場所にしていきたいですね。
個人的に、この取り組みは推し活のようだと最初に聞いた時から思っていて、自分たちが推したいものを見つけて、”こんないいものがあります、みなさんどうですか”と。社会の在り方もどんどん変わっている中でも、素敵だと感じる可能性の紹介を通じて、社会変容の最前線に関与できるのはとてもやりがいのある取り組みだと思っています。

原:「推し活」って表現良いですね。

原田:良いですね。anowがより良い未来を創る人々、社会を担う人々とそれを推す人々の居場所になると嬉しいですよね。新しいことを実践する人、最前線に取り組む人って、孤独を抱えていることが多いと思うんです。それは、その人が組織に属していても、自分で会社を起こしていても一緒で。例えば私はずっと企業勤めで、研究員という立場上、企業の中で新しいことを実践する人を支援する立場にあることが多かったんですが、そのような人は周りに同僚はたくさんいても、同じビジョンを持っていたり、同じ熱量で仕事に取り組んでいたりする人が少ないなど、いろいろな孤独を抱えていました。
anowが、Social Quantumと呼ばれる人と彼らが所属する組織、Social Quantumの活動を支援したい人、組織、そしてSocial Quantamに興味を持ち始めた人、組織が集まり、様々なコミュニケーションが生まれる場として成熟することで、Social Quantumの孤独感を振り払うことができる、かつ様々な支援、アクセラレートができる場になるといいなと思っています。

田中:僕はプロデューサーの役割で入らせていただいていることもあり、みなさんとは少し別の角度で考えているかもしれません。
僕自身、これまで起業したり、いろんな企業・個人に対して課題解決・価値創出のお手伝いをしてきたという経験があり、特に「まだ常識的ではない活動や考え方を社会に実装する」という目的のプロジェクトが多くありました。それでいうと、結構Social Quantum的なものに対する支援をしてきたとも言えます。そのような動きの中で、関わっているものをより多くの人に使ってもらいたい、広げたいという想いはありましたが、そのための方法がとにかくお金を稼ぎましょうであったり、投資額がどのぐらいかといった成長の尺度だけで測られることも多く、評価のあり方が固定されてしまっている感覚に違和感がありました。
サービスの描いている成長像や理想の姿に合う評価の形や世の中に受け入れられる幅などがあればもっと楽なのに、創る側もユーザー側ももっとハッピーな状態がつくれるのにとすごく思っていました。
そういった想いから、anowの立ち上げに関わらせていただくことになった時に、anowでは記事コンテンツに集中しすぎるのではなく、記事をきっかけにして、そこから人々の価値観や考え方のいろいろな選択肢がより増えたり、そこに最適な価値や評価が生まれていくような、いろいろな価値の世界線があってもいい!という状態をつくりたいと思いました。

原:価値観って難しいですよね。世の中のスピード感が急激に上がっていて、極端な話し数カ月後には今の価値観が180度変わっていても不思議ではないじゃないですか。もしくはタイミングの問題で合う合わないもあると思います。だからXX年後と言われると難しいですが、世の中の最先端の変化に合わせて常にアップデートしていく、もしくはその少し先にいて、予習できるようなメディアにしたいです。anowもXX年後には今と全く違ったメディアになっているかもしれないですね。

原田:変化が激しい世の中で、自分の価値観を肯定されずとも、否定されない場がすごく大事ってことかなと。
今の日本って、特に働くということを考えたときに、「弊社は」という会社主語ではビジョンや想いまでを語れるけど、「自分は」という主語では語れない社会人、会社員がすごく多くないですか?社会とのつながりが本当に会社しかなく、自分の価値観はそこには不要なものだという意識がある。もちろん自分の価値観は持っているけれど、それが社会と結びついている感覚はない。そういう人たちってSocial Quantumを異次元な人だと思っていると思うんです。
でも、私とか私の周りの若い世代にはSocial Quantumではないけれど、会社で働きながらも、自分の思いもある程度大切にしていて、全くイコールにはならなかったとしても、自分はどうしたいのかを織り込みながら、会社のビジョンとの重なり合う点を探しながら、勤める会社を探していたり、仕事の内容を探していたりする人が多くて。そして、そういう人ってSocial Quantumとされる人たちの力になりたいって心から思っている。し、きっとどこかでSocial Quantumとして行動を起こしていくんじゃないかなと思います。そんな人やそんな人が働きやすい会社、組織が増えていくといいですよね。

田中:企画をする中で、このような人にanowに関わってほしいと思う方をイメージする際に、僕が大事に残した部分は、「実践できる立場にはいるけどが、まだ実践に結び付いていなかったり、自信が持ちきれていなかったりする人」です。特に、伝統を持ちながら、時代変化になかなかアジャストしきれていない会社で働かれている人には多いかもしれませんね。
特に若ければ若いほど、発言すること自体にかなり勇気がいりますよね?
何かを変えよう!これは間違っているのではないか?と言うことはすごくプレッシャーがかかりますし、そのような方たちの勇気を引き出せるメディアの在り方だったり、その方たちの勇気をくみ取って、一緒に何か新しい形を模索していけるようなアプローチをしたいと思っています。
ですから、記事だけではなく、読者の方たちも何かをすることにすごく重点を置きたいです。anowは段階的に成長・変化していくことを前提としてますし、その中で読者やanowに関わりたい人々へ提供できる選択肢を増やしていきたい。
anowを通じて、これまで関わりようのなかった人と繋がったり仲間になれたりすることで、たまたま外にできた仲間が自分の勇気を奮い立たせてくれるという状況は、anowでも生み出していきたいものの一つです。

原田:まだ行動できていないから、私はSocial Quantumではないという意識ではなく、誰もが社会の小さな担い手であるという意識が芽生えるといいですよね。

藤井:そうですね。あと、僕たちのスタンスとして、取り上げる人を消費しないことも大事ですよね。メディアに限った話ではないですが、やはり消費するということには一方的な側面があると思います。
今の人たちは”自分が幸せと感じた出来事は、相手にとってもポジティブな出来事であるべき”というWin-Winの関係を結構強く求めている気もしています。共創というワードを目にすることも以前よりだいぶ増えましたが、それはたぶんGive-Giveで与え合うような、消費し過ぎない関係性が理想なんじゃないでしょうか。僕たちがいろいろなものを他者と作り上げていく際にも、そのような視点は重要視するポイントではないかと思っています。

anow(アノウ)は、このような想いで生まれました。ただまだまだ試行錯誤中のメディアで、これからインタビュイー、読者、anowに関心を持ってくださった皆様と一緒にアップデートしていきたいと思っています。この記事を通して、より深くanowを知ってもらえれば幸いです。

anow編集部

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